自宅がゲーセンに!? FLクレイジークライミングのこと

FLクレイジークライミング 全景

クレイジークライマーがご自宅で!! という感動的な逸品でした

「令和初のハード」としてメガドライブミニが発売されて、当時楽しんでいたプレイヤーを中心に盛り上がっています。
ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータをきっかけに、にわかに「ほにゃららミニ」がリリースされたわけですが、その魅力のひとつがその筐体デザインであることは皆さんも認めるところかと思います。
なかでもネオジオミニは、MVS筐体を大胆にリミックスして、新しくも懐かしい感覚を呼び覚ましました。このネオジオミニを見たときのゲーセン感覚といいましょうか、この感情というのは実は過去に味わったぞ……という気がしていたのです。

あれはファミコン登場前夜、電子ゲーム時代。1ハード1タイトルのゲームが当たり前だった時代。1ハード1タイトルということは、ハードそのものがそのゲームのために作られているわけでして。あの頃のゲーム機には、そんな「ビデオゲームを自宅に持ち込む」という初めての感覚をもらったと思っています。
今回はそんな電子ゲームの中から、バンダイの「FL クレイジークライミング」のことを少しだけ。


その日、確かに自宅がゲーセンになった


FLクレイジークライミング コントロールパネル

2本のスティックの存在感たるや

かの「クレイジークライマー(1980年/日本物産)」を、最も早い段階で家庭に持ち込んだのがこの「クレイジークライミング」でした。
名前が違うのは色々と込み入った事情があったのだとは想像できますが、ともあれクレイジークライマーが自宅で倒れるまで遊べるということで、もう文字通り狂ったように登り続けていたものです。
「FL」の名が示す通り、FL管で薄めの緑と赤の光が印象的なディスプレイ、スタイリッシュな縦型筐体、そしてきわめつけはクレイジークライマーの象徴とも言える2本のスティック。
過去様々な形で移植されたクレイジークライマーの中で、純然たるツインスティックを装備していたのは、自分の知る限りこのクレイジークライミングだけではないかと思います。このゲーム特有の両手を動かす感覚に近い妙なリアリティのある操作は、やはりスティックで操ってこそ。この操作形態を自宅で楽しめるという事実がテンションをグイグイ引き上げたと言っても過言ではないでしょう。

実際のゲーム内容は、固定セグメント表示であるが故にシビレ看板もキングゴリラも鉄アレイも出てきませんが、それでもおじゃまMAN、しらけコンドル、そして開閉する窓に、レバーを駆使して登りまくる快感がクレイジークライマー感を十分盛り上げてくれます。ゲームとしてみた場合、当然ながら足りない要素もたくさんあるわけですが、それを補ってあまりあるのが、この「FLクレイジークライミング」というゲームマシンの存在感なのです。


FLクレイジークライミング プレイ画面

表示は3列ですが仮想5列のビルなんです

1981年当時は色々な電子ゲームがありましたが、先にも述べた通り1ハード1タイトルのゲーム機というのが当たり前の時代。それぞれのゲーム機は筐体デザインを含めて独自の世界観を盛り上げていました。そのデザインは、2019年現在の目から見ても、いや、2019年のコンシューマゲーム機を当たり前に見ているからこそ、そのデザインのひとつひとつが魅力的に映ります。

メカニカルかつシックなシルバーとブラックの配色、前面パネルには摩天楼を模したデザイン、そして前述のスティック。
決してアーケードゲームの筐体そのままというわけではないのになぜか感じる不思議な感覚は、純粋に「自宅がゲーセンになったみたいだ!」という喜びだったように思うのです。

今あれこれと出ているミニサイズのレトロゲームも、ある意味「あの頃の自分の部屋みたいだ!」と盛り上がる感じがあるのではないでしょうか。
そういう意味では、いっそこう、アストロシティミニとか、ブラストシティミニとか、そういうのあったらいいなぁ、なんて思ってしまいます。

というわけで、最後はいくつかの写真と、クレイジークライミングには関係ないような気がしないでもないと言えなくもないいくつかの音楽をご紹介してのシメとさせていただきます。

それではまた。

FLクレイジークライミング フォトギャラリー


FLクレイジークライミング 前面パネル

残念ながら右上のヘリは来てくれません

FLクレイジークライミング 底面注意書き

旧バンダイロゴがなつかしい

FLクレイジークライミング 横からの全景

真横からのルックスもまたイカす!

FLクレイジークライミング ロゴ

冷静に考えると「バンダイエレクトロニクス」ってなんだ……?


クレイジークライミングには関係ないような気がしないでもないと言えなくもないいくつかの音楽



余談:クレイジークライマー専用ハードといえば他にも、マメゲーム「クレイジークライマー」というものがありまして、こちらもFLクレイジークライミングと趣を同じくするゲーム性を持っています。レビューは以下のエントリーからご覧ください。




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