キーチェーンから筐体型まで いろんなin1ゲーム機のこと
先日、名古屋の電気街、大須をぶらぶらしていたら、ガチャガチャで売られているキーチェーンゲームを見つけてついつい回してしまいました。 90年代にたまごっちなどと共にいろいろな形で出てきたキーチェーンゲーム、その中にいわゆるin1ゲーム機と呼ばれるジャンルがありまして、このゲームもそんなタイプの1つです。うーん、2018年をしてここまであの頃のままなものがあるというのに驚かされます。 今回は、そんなin1ゲーム機をtee-suzuki所蔵のものから紹介してみたいと思います。
GAME BOX mini CLEAR
右下の微妙なアールとボタン構成にゲームボーイ感を醸し出すこの「GAME BOX mini CLEAR」が、大須のガチャガチャで手に入れたものです。どうやら先に発売されていた不透明色のもののバージョン違いのようですね。
100円玉数枚分のサイズになんと26種類ものゲームが! とは言うものの、ラインナップは以下のとおり。
- シューティング
- ドライブ
- 絵合せ(3種)
- 壁消し
- 道渡り
- ブロックつなげ
- ブロック崩し(18種)
どうにもこうにも90年代のあのin1機のゲーム性をほぼ受け継いでいます。だいたい26種のうちブロック崩し(18種)ってどういうことですか、という。取説を眺めてみても、ゲームのタイトル以外にはこれといった説明もなく投げっぱなし。雑が過ぎます。
しかし、だがしかしそれがいい……。
この手のin1ゲーム機に求められるのは高いゲーム性ではなく、苦笑いしつつ遊び、そして笑って許しちゃう愛嬌。そう思う私なのです。
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POWER DANGER
こちらは90年代に友人が秋葉原で買ってきてくれたハンドヘルド型in1ゲーム機「POWER DANGER」。収録ゲーム数は驚異の256種! もうこの数字の時点で匂い立つものがあります。
この「POWER DANGER」パッケージがまたイカしていまして、右下にはゲーム本編に一切登場しない謎の戦隊ヒーロー「POWER DANGER」のみなさんが。当時アメリカで放送されたパワーレンジャーをモチーフとしていることは想像に難くないのですが、ここまでやすやすと一線を踏み越えてこられると逆に清々しいというか、日本→アメリカ→台湾→日本と長い旅路の果てに秋葉原にたどり着いたんだなぁという感慨すら覚えるのでした。
POWER DANGERの特徴の一つはそのサイズで、当時GAME BOX miniのようなキーチェーンタイプが多かったなかで、がっちり両手でホールドできるこのサイズ感はなかなかの存在感で、ショットボタンと操作ボタンのアンバランスさもまた個性的でした。ボタンのレスポンスも含め操作感は決して良いとは言えないものの、ゲームとガッツリ向き合う感じは正直好きです。
数多くのin1ゲーム機との違いとして注目したいのは、はっきりとメーカー名を打ち出していること。小天才(Micro Genius)という非常にキャッチーな響きを持つこのメーカー、1980年代後半にはファミコンのクローンコンソールで知られる存在だったようで、チープな存在であることが多いin1ゲーム機の世界では珍しく社名・ブランドを冠した存在だったのではないでしょうか。
今はもう存在しないメーカーのようですが、ロゴや社名を見ると今でもちょっと心躍ってしまうのです。
参考:Wikipedia(英語版) Micro_Genius
NINETEENDOT BLOCKQUBE
先に紹介したPOWER DANGERではパッケージのパワーレンジャーらしきキャラクターに「ここまでやすやすと一線を踏み越えてこられると逆に清々しい」などと言ってしまいましたが、こちらの方がよりアウトよりのアウト、と言えるのではないかと思います。
NINTENDOではありません、あくまでNINETEENDOTなのです。GAMECUBEではありません、あくまでBLOCKQUBEなのです。そう書いてあるからそうなのです。
2000年代初頭にAOpenから発売されていた「Yontendo」(マウス、スピーカー、キーボード、パームレストの4点をもって「4点どう?」として売り出されていたセット)を思い出させるこのネーミング、シビれます。
さて、シビれるのはネーミングだけではありません。これまで紹介してきたin1ゲーム機は携帯機ですが、このBLOCKQUBEはまさかの据置機、しかもディスプレイ一体型。本家(?)GAMECUBEを超えたと言えば超えたと言えなくもないシステム構成となっているのです。
なんと本体上面のOPENボタンを押すことでディスプレイがポップアップ、そして本体内部には有線コントローラが隠されています。
このコントローラもまた中途半端にゲームキューブに寄せてきていまして、アナログコントローラっぽい感じで普通のボタンがあったり、ボタン構成はそれっぽいのに配置が違っていたり、なぜか十字ボタンは素直に十字として使われなかったりと、ここにきて中途半端にオリジナリティが出ているところがまた面白いですね。
GAME MACHINE 108 IN 1
さて、ここまでのin1ゲーム機はテトリスクローンに端を発するセグメントが固定された単色の液晶画面でしたが、一気に世代を飛び越えてカラーかつ自由な表現のゲーム機「GAME MACHINE 108 IN 1」です。 ゲームセンターのプライズ品として流通していたものですが、外装の装飾が違うものが単品で売られていたりもしたようです。
内容的には、ファミコンの互換機でよくある簡素なアクション系が多く収録されていますが、中でも気になったのは「RACING FIGHTER」というタイトル。限りなくロードファイターそのままなんですが、最大の特徴は自機に機銃が装備されていること……。これでライバルカーを破壊できるという、RACING部分を捨ててもうFIGHTERだけでいいのではないか的な感想を抱いてしまうのですが、これが意外に面白い。もちろん弾数無制限だとただのシューティングになってしまいますので、弾数制限はあり道中のアイテムを取って補充という形になっています。
なおこの「RACING FIGHTER」ですが、Twitterで話題にしていたところ、近いコンセプトの作品がすでに存在しているとのこと。その名も「カーファイター」というカシオから発売されていたMSX用のソフトなんですが、まぁなんと言いますか、よくこれ世に出たなというくらい清々しいほどに「ロードファイター」でして、逆説的にカシオが市販するくらいのソフト(に近いもの)が含まれているin1機というポジティブな結論に着地でいかがでしょうか。
この「GAME MACHINE 108 IN 1」は、やはり正直なところゲームそのものよりもそのルックスが非常にグッとくる仕上がりになっており、自室の棚の一部を飾るインテリアとして活躍しています。近年は任天堂のクラシックミニシリーズやNEOGEOminiなどミニチュア家庭用ゲーム機が賑わいを見せていますが、アーケードゲーム好きとしては、やはりこんな感じの筐体をいくつも並べて小さなゲーセンを再現してみたいな、なんて思ってしまいます。
チープで、いろいろとギリギリで、でもなつかしくて、なんだか憎めない、そんなin1ゲーム機。高性能なゲーム機が身の回りにある昨今ですが、たまにはこんなゲームで遊んでみるのも楽しいかもしれませんね。
それではまた。