「パラッパラッパー」20周年のこと
「パラパラッパー」20周年おめでとうございます!
初代プレイステーションが1994年に誕生し、1997年に「ファイナルファンタジーVII」による大きなブレイクが起きた、という歴史は多くの方が認めるところだとは思いますが、個人的にはこのブレイクは旧来のRPGプレイヤーによるものと考えています。もちろんそれはものすごいインパクトと影響力をもった重大事件ではありますが、FFVIIのわずか1ヶ月前に発売され「FFの外」でのプレイステーションを象徴するアイコンとして活躍した「パラッパラッパー」に当時ガチガチのセガっ子だった自分もヤラれてしまいましたし、同じ気持ちの新しいユーザーも多かったのではないでしょうか。
そんな「パラッパラッパー」が生まれたのは1996年12月6日、今から20年(!!)前のことです。
ポップ、キュート、そしてクール!
このころの家庭用ビデオゲームといえば、ギリギリで「子供のためのおもちゃ」という見方をされていたように思います。プレイステーション時代前夜にあたるスーパーファミコンにしても、ファミコンを楽しんだ世代がそのままスライドして、子供〜若者のもの・ゲーム好きのためのものという認識であったわけですが、パラッパラッパーのリリースを境に、これまであまりゲームに触れてこなかった層にも「ん? これはなんだ?」「ちょっとおもしろそうだな」という感じで広がっていったのを、当時の空気の中感じていました。
その要因は、もちろんロドニー・アラン・グリーンブラットさんによるキュートなキャラクター、伊藤ガビンさんの独特な世界観・シナリオ、松浦雅也さんによる素敵な音楽が生み出す唯一無二の「パラッパラッパー」ワールドに他なりません。
20年経った今でも色あせることないこのゲーム、個人的な思いを元に2016年の今少し振り返ってみたいと思います。
なぜラップ/HIPHOPだったのか?
パラッパラッパーは音ゲーの一大勢力であるBEMANIシリーズのオリジナルタイトル「beatmania(1997年/コナミ)」に先駆けてゲーム界に「音楽ゲーム」というジャンルを一般化させたパイオニアと言える存在です。もちろんそのヒットの裏には高い音楽性があったのですが、ラップ/HIPHOPの要素を取り入れたというのもまた驚きの一つでした。
パラッパラッパーと言えば、文字通りラッパーであるパラッパと先生たちによるラップが全面的にフィーチャーされているのはご存知の通りですが、当時のHIPHOPシーンというのはどんな感じだったんでしょうか。
1996年と言えば、のちの日本HIPHOPの歴史では「伝説のライブ」とされる「さんピンCAMP」が行われ、今ではクラシックの「耳ヲ貸スベキ(1996年/RHYMESTER)」「人間発電所(1996年/BUDDHA BRAND)」、アルバム「空からの力(1995年/キングギドラ)」といったタイトルがリリースされていますが、一般的なイメージとしては日本のHIPHOP=「Bomb A Head!(1993年/m.c.A・T)」や「DA.YO.NE(1994年/EAST END×YURI)」での(大変失礼ながら)一過性のブーム、過剰なポップ性のイメージがありました。
ものすごく乱暴な論説にはなりますが、パラッパラッパーの音楽は、HIPHOP本来の幅広いビート、フロウや押韻の楽しさを残しつつMC RYUさんによる全英語詞、全英語セリフで包み込むことで当時の「楽しいかもしれないけど、今はもう違うよね」という一般の(日本語)HIPHOPへのイメージをうまく逆手に取って「カッコイイ!」と思わせる一面もあったのかなぁ、なんて思うのです。
2014年から始まったTV番組「フリースタイルダンジョン」をきっかけに、またHIPHOP、MCバトルに対する一般層のイメージが大分変わってきているように感じます。それこそ「DA.YO.NE」に「楽しいかもしれないけど、今はもう違うよね」と感じた方も今あらためて聞くと「あれ? やっぱり楽しい!?」と思ってしまうかもしれませんよ。HIPHOPは「やっぱり楽しい!」んですよね。
ソニー・ミュージックレコーズ (1996-12-12)
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「キャラクター」を超えて「世界」を確立したゲーム
パラッパラッパーが愛される大きな理由のひとつが、そのキャラクターや世界観であることは疑いの余地はないでしょう。
鮮やかな色使いに生物昆虫無機物おかまいなしの擬人化、ペラペラの存在という他に比べるものもないパラッパワールドは、ゲームのキャラクターを超えてプレイステーションの「オシャレなアイコン」のひとつとして縦横無尽の活躍をしていたことは、当時のゲーム界に強い記憶を残しています。
パラッパラッパーはのちにTVアニメ化もされていますが、その前段階として非常に多くのキャラクターグッズが作られたことでも知られています。フィギュアなどは過去のゲームキャラクターグッズにもありましたが、カップやタオル・ハンカチ、携帯ストラップなどの日用雑貨、ぬいぐるみといった方向まで広がっていったというのは、当時としては破格の扱いでした。2016年現在に例えるとしたら「スプラトゥーン(2015年/任天堂)」のような感じを思っていただければ近いかと思います。
パラッパ好きとしては、ついついあれもこれもと買ってしまい、デスクに並べてはニコニコしていたものです。
tee-suzukiのパラッパグッズギャラリー
当時いろいろ登場したパラッパグッズ。tee-suzuki所有アイテムの中からいくつかピックアップしてご紹介します。
ゲームとしての「パラッパ」次のステージは?
オリジナルの「パラッパラッパー」が生まれて20年、2016年までには実質的な続編である「ウンジャマラミー」と「パラッパラッパー2」が生まれていますが、残念ながらその後直接的な続編は生まれていません。しかし20周年を迎えた今、2017年にはPS4でプレイできるHD版の「パラッパラッパー」がリリースされるようです。PSP版に続くこういったリバイバルも気になりますが、ファンとしてはやっぱり新作も期待してしまいます。ぜひ、ぜひ、ぜひ新作を! と願わずにはいられません。
正直「自分は何回パラッパ遊んでるんだ」と思うこともありますが、20周年なんですよね。今20代半ばのみなさんは、新しい気持ちで初めて触れるのかもしれませんね。
20周年を迎え、パラッパワールドに何かが起きてほしい、何かが起こるんじゃないかと思いつつ、今回はこのへんで。
それではまた。
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