WCAN 2014 Winter であらためて考えたコンテンツのこと
2014年12月20日、名古屋国際会議場で「WCAN 2014 Winter」が行われました。名古屋エリアでWeb制作者向けに年4回行われる勉強会「WCAN」の冬の回となります。
今回のメインセッションは以下の内容でした。
- 長谷川 恭久さん「「なんとなく」を共有する、コンテンツを活かしたデザインプロセス」
- 斉藤 千寿さん「次世代Web制作成功の法則」
- 生田 昌弘さん「Web制作者がやるべきこと」
レポートと呼べないようなものではありますが、本会をきっかけとして、自分なりに考えているコンテンツについてを書いてみたいと思います。
コンテンツは誰のもの?
「HTMLを書いたりという実装の部分も制作だが、コンテンツの伴わない制作は作業にすぎない」といった言説はよく聞かれますし、間違っていないとも思います。しかし、素直に首を縦に振れない自分もいます。
なぜなら、なんからの「伝えたいこと」があって、実装者はそれをより効果的に伝えられるように考え、実装するからです。ゼロから「伝えたいこと」を考えるのは実装者の仕事とは言えないのではないかということです。
受託案件では、当然ではありますが、コンテンツの主体はクライアント様側にあります。制作者側が勝手にゼロから作り上げるものではないと私は考えます。 とは言え、クライアント様側だけでは「Web上で展開するべきコンテンツ」を導き出すのが難しい・どうしたらよいかわからないということで、我々のような制作者にお声がかかるのではないでしょうか。
パンフレットは「悪」なのか?
よくWebの世界でコンテンツについて言われることに「パンフレットの内容を載せておいてくれればよいから」と言われて困る、というものがあります。一度は聞いたことがある、心当たりがあるという方もみえるかと思います。私もそう思ったことがあります。
しかし今一度考えてみたいのは、その「パンフレット」の情報は誰かが適当に作ったものなのか?
ということです。100%全てがそうではないかもしれませんが、ほとんどの場合は、なんらかデザイン上の意図をもって作られ、企業・製品・サービスの意思の方向性を表すコピーやテキストがそこにはあります。
それは本当に「誰も必要としていないもの」なのでしょうか?
今回登壇された生田さんのお言葉を借りると、パンフレットというのは誰もが手に取る可能性があるため、よいものになったとしても70点の情報にしかならないそうです。
つまり、Web制作者としてはこれをそのまま掲載することでは70点にしかならないと言えますが、実際には70点をもらえることも難しいからこそパンフレットの情報は悪とみなされます。
しかし、改めて考えれば、本当に悪いのは「パンフレット(Web向けでない情報)を工夫なくそのまま掲載する制作者」であることは疑いようがありません。
その情報を「Webで生きるコンテンツ」にするのがプロの仕事
こう考えれば、これまでクライアント様が作ってきたものを、Webのプロフェッショナルである我々が「Webで生きるコンテンツ」にすることが「Webのコンテンツづくり」と言えるのではないかと思うのです。
あくまでコンテンツはクライアント様のものですが、そこには実装者の持つ「よりよく伝えるための技術」は必要不可欠であり「Webのコンテンツづくり」の大きなパーツのひとつです。もちろん、企画自体をとりまとめる側も「どうしたらよりよく伝わるか、よい情報にできるか、さらなる情報を引き出せるか」を考え実行していくのは言うまでもないでしょう。
よりよいWebコンテンツとはなんだろう?
私個人の見解ですが、数年単位の流れの中でWebコンテンツというのはこんな変遷を遂げてきたように思います。
- 情報がWebにあること
- 情報がスピーディーにWebに追加・更新されること
- 自分に必要な情報がWebにあること・見つかること
もはや情報がWeb上にあることも、それがスピード感があるものだということも、当たり前になりました。問題解決のためには「自分に必要な情報がWebにあること・見つかること」が重要になります。
情報を求める人に、適切な情報を適切に届けること。言葉にしてしまえば簡単ですが、これがしっかりできるのであれば、必ず効果は上がります。
よりよいWebコンテンツを作っていけるよう、2015年も頑張っていきたいと思います。
あらためてコンテンツについて考える機会をくださった長谷川さん、斉藤さん、生田さん、ありがとうございました。
2014年も間も無く終わりです。
来年の今頃は何を考え、何を作っているんでしょうか。
恐ろしいような、楽しみなような。
それではまた。